1.入所者の家庭復帰率の異なる施設間での看護管理者の役割認識と施設の看護実践の比較検討 介護老人保健施設の看護援助は、施設の運営理念、運営実態によって異なると考えられる。家庭復帰率の異なる施設においてどの様な看護活動が異なっているかを明らかにする目的で看護管理者の役割認識施設の看護実践、施設の過去1年間の運営調査を実施した。 120施設から回答が得られた。入所者の家庭復帰率65%(H.11年度全国平均値)以上群、未満群において、家庭復帰率の高い施設の看護管理者は有意に多くの者が「入所予定者が入所対象であるか健康レベルを判断する」「入所者の退所に向け自治体保健婦・在宅介護支援センター等の職員と話し合い、退所前後の訪問を行いサービスの連携を図る」を役割認識し、「退所前訪問などで療養生活環境を把握する」「本人や家族に社会資源の活用を勧める」介護職員を指導・育成し、介護職員が援助しゃすい環境を整える」「退所後必要となる医療サービスを医療機関と確立する」「入所者の退所に向け自治体保健婦・在宅介護支援センタ等の職員と話し合い、退所前後の訪問を行いサービスの連携を図る」「療養生活移行に関する家族の相談に施設外の関係職種と応じる」看護実践をしていると解答した。これらの看護管理者の役割認識と施設の看護実践は入所者の家庭復帰率を高める看護に重要と考えられた。 2.調査施設の選定基準およびデータ分析方法の明確化 1.の結果を看護援助の構造を導くための調査の施設選定基準に加える必要があると考えられた。また施設選定基準の妥当性を確認するため1施設の看護管理・看護実践の参加観察とインタビュー、看護援助の構造化のための分析方法を検討した。H15年度には施設数を増やし、教育ニーズの把握も行なう予定である。
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