女性のリプロダクティブヘルス/ライツに最も影響すると考えられる産痛緩和ケアや出産時のケアの向上を図ることを目的に、平成14年度は家族立ち会い分娩群(609例)と非立ち会い分娩群(402例)における分娩結果の相違を検討した。本年度は平成14年度の研究の継続と共に、母体および胎児のストレスをより客観的に把握するために、母親の血液や胎児由来の臍帯血などを採取し、生化学的側面からもストレス状況を捉えて研究の深化を図った。なお、血液の採取は母体への侵襲を伴うために、研究実施前に三重大学医学部研究倫理委員会において研究計画の承諾を得た。 以下に本年度の研究計画と研究実績を記述する。 目的:(1)立会い分娩の有無による産婦および胎児のコルチゾール・βエンドルフィンの変動を明らかにする (2)産婦の主観的ストレス(STAI、産痛強度や疲労度調査)とコルチゾール・βエンドルフィンの関連性をしらべる。 対象:大阪府の産婦人科を有する施設で出産した女性。対象が正常に意志決定できる妊娠期に研究の説明を行い、紙面にて研究への参加の承諾を得た。 調査時期:コルチゾール・βエンドルフィンを測定するために、妊娠10ヵ月、出産時、産後1日、3日に母体血を採取した。出産時には臍帯血の採取も同時に行った。この時期は、本施設ではルーチンの血液検査が施行されるときである。対象への身体的侵襲をできうる限り抑えるために、採決回数は通常の産婦と同回数とし、採血量もコルチゾール・βエンドルフィン共に1ccずつ、計2ccで僅かの採取とした。 また、主観的ストレス指標として、妊娠時と出産後にSTAI・疲労度調査を行い、分娩結果は対象および施設の許可を得て病歴・看護記録にて調査した。 現在、データ収集とデータ整理の継続中であるが、血液データを採取できた人が60例(コルチゾール200検体・βエンドルフィン170検体)、アンケートのみの協力者が50人である。
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