研究課題/領域番号 |
14572282
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松坂 誠應 長崎大学, 医学部, 教授 (60190435)
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研究分担者 |
間瀬 由紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60256451)
鷹居 樹八子 長崎大学, 医学部, 講師 (40325676)
寺崎 明美 長崎大学, 医学部, 教授 (50163910)
保高 由香里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90338939)
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キーワード | 失語症 / セルフヘルプグループ / エンパワーメント / 生活体験 |
研究概要 |
【目的】失語症者の主観的体験とセルフヘルプ・グループから得ている支援を明らかにすることを目的とした。 【方法】1.対象・方法:失語症友の会入会後5年以上経過した失語症及び構音障害を経験している参加者を対象に半構成的面接調査を実施した。面接内容をテープに録音し、身振り手振り、表情などの情報を全て記録した。 2.分析方法:個別分析は失語症及び構音障害を持ちながらの生活体験を抜粋し、中心的意味を表現しながら表題をつけた。全体分析で表題の類似するものをまとめ、カテゴリー化した。研究者間で体験の意味を確認し、検討を繰り返すことで信頼性確保に努めた。3.倫理的配慮:長崎大学において諸手続き終了後、グループ代表者及び対象者に研究趣旨、匿名性の確保、途中参加中止の保障などを説明し同意書を得た。 【結果・考察】1.対象の概要:男13名、女10名、年齢は45歳〜70歳、原因疾患は脳血管疾患22名、難病1名であった。友の会入会からは5〜22年であった。2.分析結果:医師あるいは言語療法士から説明を受けるまでは[言葉にならないことへの困惑]が強いが、言語訓練により[障害の早期克服への期待]を持ち始めている。退院後は[退職を余儀なくされたことによる喪失感][他者の反応による屈辱感][付き合いの縮小化]などを経験する一方で、人の役に立とうとすることで[自分の存在意義の確認]をしていた。またグループからは[同じ体験を持つ者同士の情緒的支援]を感じながら[機能回復への言語訓練の継続]という問題解決的支援も得ていた。 【次年度の課題】セルフヘルプ・グループの支援の多様性や参加者への影響を明らかにするためには複数のグループを対象とする必要があり、現在他グループでの調査を実施している。今後グループ間の比較などからも支援のあり方を明らかにする。
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