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2003 年度 実績報告書

失語症者の生活体験とセルフヘルプ・グループを通したエンパワーメントの過程

研究課題

研究課題/領域番号 14572282
研究機関長崎大学

研究代表者

松坂 誠應  長崎大学, 医学部, 教授 (60190435)

研究分担者 間瀬 由紀  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (60256451)
鷹居 樹八子  長崎大学, 医学部, 講師 (40325676)
寺崎 明美  長崎大学, 医学部, 教授 (50163910)
安藤 悦子  長崎大学, 医学部, 助手 (20363476)
キーワード失語症 / セルフヘルプ・グループ / エンパワーメント / 生活再構築 / 自己受容 / 居場所感
研究概要

〔目的〕セルフヘルプ・グループに参加している失語症者の発症から現在までの主観的体験から、失語症とともによりよく生きるためのエンパワーメント過程を明らかにすることを目的とした。
〔方法〕1.対象:失語症セルフヘルプ・グループ参加者のうち発症後5年以上経過し、面接協力が得られた年齢50代から70代の男性16名女性14名。2.方法:Strauss(1984)の病みの軌跡を概念枠組として、独自の半構成的インタビューガイドを作成した。プレテストを経て項目を修正後、面接調査を実施した。3.調査期間:平成14年12月から平成15年3月4.分析方法:許可を得て面接内容を録音し、逐語録を基に質的帰納的分析を行った。5.倫理的配慮:研究者所属施設の倫理的諸手続をとり、グループ代表者及び面接協力者に研究の趣旨などを文書ならびに口頭で説明して承諾書を得た。6.用語の操作的定義:エンパワーメント過程とは、失語症者が自分の生活に対して意思決定をし統御する能力を獲得し発展する過程をさす。
〔結果・考察〕エンパワーメントの局面として4局面(以下【 】)、15カテゴリー(以下< >)が抽出された。【失語症の受入れ】は、<回復への信念><自己価値の肯定><割り切り>という障害をもった自己を受容しようとする内的活動を表していた。【生活再構築の方法】としての<言語訓練>は、入院中の強制的なものから退院後は習慣化された主体的取組みに変化していた。また<今までの生活の継続>で役割維持や自分らしさを演出しつつ、<障害に合わせた生活><セルフヘルプ・グループを通した活動>により生活にめりはりをつけて適度な社会性を維持していた。
失語症の受容を促し、再構築の方法の遂行を支える要因としての【エンパワーメント促進要因】には、<周囲の個を尊重した関わり><経済的基盤の確保><回復への具体的目標><セルフヘルプ・グループ機能の受入れ>が含まれていた。【エンパワーメント阻害要因】は<対人関係の疎遠><社会の無理解><周囲の否定的評価>が含まれていた。
【今後の課題】失語症者の支援の多様性を明らかにするために、今までの研究過程で明確になった家族からの支援とその相互作用について検討する。さらに、発症から退院に至るまでの失語症者・家族の思いと看護援助を明らかにし、効果的な介入のあり方を検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 鷹居樹八子, 間瀬由記, 寺崎明美: "Reconstructed Lives of Aphasic Patients : Analysis by Their Subjective Experiences and Coping Behaviors after Discharge from Hospital"7^<th> Asia/Oceania Regional Congress of Gerontology. S186 (2003)

  • [文献書誌] 間瀬由記, 鷹居樹八子, 寺崎明美: "失語症者の自己意識に影響を及ぼす要因"第27回日本高次脳機能障害学会. 131 (2003)

  • [文献書誌] 鷹居樹八子, 間瀬由記, 寺崎明美: "失語症とともに生きることの意味 -失語症発症から現在までの認識と思いの分析-"第23回日本看護科学学会学術集会. 486 (2003)

  • [文献書誌] 辻慶子, 間瀬由記, 寺崎明美: "喉頭摘出者におけるライフスタイル再編成の過程 食道発声教室参加間もない参加者を対象に"第23回日本看護科学学会学術集会. 477 (2003)

  • [文献書誌] 間瀬由記, 寺崎明美, 辻慶子: "喉頭全摘出者の食道発声訓練継続に関する自己決定のプロセス"日本がん看護学会第18回学術集会. 217 (2003)

  • [文献書誌] 関根剛, 間瀬由記, 辻慶子, 鷹居樹八子, 寺崎明美: "喉頭摘出者がセルフ・ヘルプグループから得ている支援と参加者の特性について"第45回日本老年科学会大会. 241 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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