乳がん体験者とその配偶者のソーシャル・サポートと精神的・身体的状況との関連

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14572287
• 研究機関: 福島県立医科大学
• 研究代表者: 真壁 玲子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (70294098)
• キーワード: 乳がん体験者 / 配偶者 / ソーシャル・サポート / ソーシャル・サポート・ネットワーク / 精神的状況 / 身体的状況 / 縦断的研究

研究概要

平成15年度の計画は、1.初期データ分析の結果のまとめと学会発表、2.データ収集の継続、3.データ分析、4.研究成果のまとめと発表準備を行うことであった。それぞれの項目について、以下に記述する。
1.初期データ分析結果をまとめ学会発表を行った。発表した学会名は6th World Congress Psycho-Oncology (Banff, Alberta, Canada)である。研究表題は、Social Support and Psychological States among Japanese Breast Cancer Patients and their Spouses : Focused on Pre-Breast Surgeryである。研究目的は、日本人乳がん体験者とその配偶者の手術前のソーシャル・サポートと精神的状況の実態を知ること、その比較をすること、そして、これら対象者へのケアを検討することである。主な研究結果は、乳がん体験者本人とその配偶者の2群間に精神的状況は有意差を示さなかったが、ソーシャル・サポートは配偶者の方が乳がん体験者本人よりも有意に低いという結果を示した。考察として、医療者は手術前においては手術を受ける乳がん体験者本人に注目し治療とケアを提供するのは当然であるが、その主たるケア提供者である配偶者に対してもケア提供が必要であることを検討した。このような研究内容について発表し、他研究者との意見交換を行った。
2.データ収集の継続は、某総合病院において行っている。現在、対象者数は、手術前の乳がん体験者100名となっている。また、手術後の経時的なデータ収集は、手術後3ヶ月、6ヶ月、1年、1年半、2年の時期に郵送法により行っている。
3.データ分析は、乳がん体験者の手術前と手術後3ヶ月のソーシャル・サポート・ネットワークと精神的・身体的状況について比較相関を検討した。
4.研究成果としてまとめて発表準備を行うことについては、上記3の分析結果をまとめて抄録を学会に提出し採択された。平成16年8月に発表予定である。学会名は、13^<th> International Conference on Cancer Nursingであり、研究表題は、Social Support Network of Japanese Women with Breast Cancer : Before and Three Months after Breast Surgeryである。
また、その他として、継続した文献検討をまとめ論文投稿し学会誌に掲載した。本研究に関連する研究会や学会に参加し、情報・資料収集を行った。

研究成果

• [文献書誌] Makabe, R., Nomizu, T., Kikuchi, J., Komiyama, Y.: "Social Support and Psychological States among Japanese Breast Cancer Patients and their Spouses : Focused on Pre-Breast Surgery"Psycho-Oncology (6^<th> World Congress of Psycho-Oncology). 12・4. S154 (2003)
• [文献書誌] 真壁玲子: "がん看護学領域における研究の動向と課題:過去5年間(1998〜2002年)に看護学会誌2誌に掲載された研究論文"日本がん看護学会誌. 17・2. 13-19 (2003)
• [文献書誌] Makabe, R., Nomizu, T., Sato, M., Komiyama, Y., Kikuchi, J.: "Social Support Network of Japanese Women with Breast Cancer : Before and Three Months after Breast Surgery"13^<th> International Conference on Cancer Nursing : Conference Programme and Abstract Book. (In Press). (2004)