平成14年度の本研究の実績は、以下の通りである。 1)一人暮らし高齢者の実態調査票の作成 国内外文献および日本の大都市(東京)および東北地方の一人暮らし高齢者の状況を参考に、一人暮らし高齢者の実態を把握するための質問項目を精選した。それらの項目に既存の高齢者の生活の質の測定具(Single Item Quality of Life Scale;0-10)とPhiladelphia Geriatric Center Moral Scaleを加えて、実態調査票を作成し2名にパイロットスタデイを実施した。その結果、各質問項目については高齢者に理解可能であり答えやすいことが検証された。 2)一人暮らし高齢者の実態調査の実施 作成した実態調査票を用いて、東京都内および近県に在住する一人暮らし高齢者約50名を対象として郵送法による実態調査を実施した。対象者の平均年齢は74歳であった。配偶者との死別が一人暮らしの理由として最も多かったが、子供を1人以上もっている一人暮らし高齢者も多いという実態が明らかになった。また、一人暮らし高齢者の生活の質(Single Item Quality of Life Scale;0-10)の平均値は、4.71、また、Philadelphia Geriatric Center Moral Scale(1-17)の平均値は7.40であった。生活の質に有意に関連する要因は、趣味があることおよび幸福と感じることがあるの2要因であった。本研究の結果から、日本の都市に在住する一人暮らし高齢者の生活の質はきわめて低く、それを改善するための看護介入が早急に求められていることが示唆された。 3)研究成果の発表 上記の実態調査の結果は、2003年にアメリカで開催されるMidwest Nursing Research Society 2003 Annual Research Conferenceで発表(予定)。
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