1.一人暮らし日本人高齢者の生活の質に関する研究 東京都内および近県に在住する一人暮らし高齢者約50名を対象として郵送法による日本人高齢者の生活の質に関する実態調査を実施した。対象者の平均年齢は74歳であった。一人暮らし高齢者の生活の質(Single Item Quality of Life Scale;0-10)の平均値は、4.71、また、Philadelphia Geriatric Center Moral Scale(1-17)の平均値は7.40であった。生活の質に有意に関連する要因は、趣味があることおよび幸福と感じることがあるの2要因であった。 2.日本人高齢者のレミニッセンス活動の特徴に関する研究 東京都内および近県に在住する高齢者約70名を対象として郵送法による実態調査を実施した。対象者の平均年齢は77歳であった。その結果、地域在住日本人高齢者のレミニッセンス活動の特徴として対人的レミニッセンス(interpersonal reminiscence)と内的レミニッセンス(intrapersonal reminiscence)は、同様に、しかし低い頻度で行なわれている、という実態が明らかになった。また、「健康状態」と「日常生活における宗教の重要さ」がレミニッセンス活動に有意に関連していた。本研究の結果から、「健康状態」と「日常生活における宗教の重要さ」は、レミニッセンス活動の頻度を表す指標となり得ることが示唆されると共に、高齢者の文化的背景を考慮したレミニッセンス活動の看護介入が必要であることが示唆された。 3.一人暮らし高齢者を対象としたレミニッセンス療法を用いた看護介入研究 改訂版レミニッセンスインタビューガイドをもちいた4回のレミニッセンス療法が日本人高齢者に適用可能であり、一人暮らし高齢者の心理・精神的健康に効果的な看護介入となることが示唆された。また高齢者のライフコースにそったテーマからこの看護介入が、看護者の高齢者理解を促進し真の共感的コミュニーケーションを可能とする一助となることも示唆された。
|