研究概要 |
本研究の目的は、患者および看護師のSpiritualityの構造・規定要因を見出し、文章完成法/半構造化面接法のSpirituality評定尺度(SRS-B)を開発することである。SRS-Bは、「何よりも一番したいことは…(Q1)」「一番の支えになるものは…(Q2)」「周囲に対して強く感じていることは…(Q3)」「自分のこれからは…(Q4)」「病というものは…(Q5)」の質問5項目で構成された。SRS-Bの評価は、各項目の回答内容を「否定的:0点」「中性的:1点」「肯定的:2点」と分類・数量化しその合計点(SRS-B評点)で示された。SRS-Bの尺度としての妥当性は、以下の段階的な分析的帰納法アプローチにより確認された。 (1)透析外来患者22名と看護師13名を対象に、Q1・Q5を面接法で年齢・性別・15項目5件法Spirituality評定尺度(SRS-A)を自記入法で回答を求めた。数量化I類分析を行った結果、Q1・Q5はSRS-Aの影響要因であることが示唆された。 (2)在宅療養者20名とその介護者20名を対象に、Q2〜Q4を面接法で、年齢・性別・SRS-Aを自記入法で回答を求めた。数量化I類分析を行った結果、Q2〜Q4がSRS-Aの影響要因であることが示唆された。 (3)看護師162名を対象に、Q1〜Q5を文章完成法で、SRS-Aを自記入法で回答を求めた。数量化I類分析を行った結果、Q1〜Q5がSRS-Aの影響要因であることが示唆された(R^2=0.25,p<0.001)。また、SRS-A得点とSRS-B評点には弱い正の相関関係が認められた(r_s=0.32,p<0.001)。信頼性については、クロンバックのα係数0.62とガットマン-折半法の信頼性係数0.65で確認された。 以上の結果から、SRS-Bは実用可能な尺度であると判断した。
|