研究概要 |
1.自然流産後の女性たちの喪失,悲嘆の実態を知り、援助のあり方を考えることを目標として,インターネットのホームページ検索とその内容分析を行い発表した。 結果:1)過去に流産の体験がある女性たちの手によるWebサイトがいくつかあり,体験者同士がインターネットを介してコミュニケーションをはかり,相互にサポートし合っている実態が明らかになった。 2)Webホームページの内容には2つの流れがあり,一つは病院・医院,あるいは医師個人が開設しているホームページで医学的知識,情報を中心にしたもの,もう一つは過去に流産体験のある女性たちが開設している体験談,情報交換,癒し合いを中心にしたものであった。ホームページ開設数の増加状況から,悲しみを癒し,悲嘆から回復する一つの方法として,インターネットが役割を果たせるのではないかと考えた。 3)既設のWebホームページには,看護者の手によるサイトはなく,男性,あるいはカップル双方への援助に関する情報が無かったので,ホームページを開設し情報提供することとした。これまでは女性に対する援助が中心に考えられていたが,男性,カップル双方への援助も考えていく必要性についても発表した。 2.流産前後の援助システムの見直しと改善案を検討し発表した。 1)現在は流産徴候で受診した場合,医師による処置を受け,1〜2週間後に再受診し,医師が生殖器の治癒・復古を確認し身体異常があれば医学的治療を受けるが,なければ心の傷は放置される場合が多い。悲嘆の進行が滞った場合,行く場所が欧米に比して極端に少ないのが実状である。 2)改善すべき点として(1)医療機関での改善点としてカップル双方に対して援助するしくみ作りと医療職者の卒後教育支援,(2)ピア・グループ作りの促進とその支援,(3)病院外(地域)での援助システムづくり,(4)インターネットを介した援助システム作りの必要性について考察し発表した。 3.女性向けの一般雑誌に「流産後の体と心に必要なケア」について執筆し,一般女性の啓蒙に努めた。
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