研究概要 |
本研究の目的は、家庭的な小規模ケアの場で痴呆性高齢者へのケアの熟練者が行っている行動障害を緩和するための働きかけと予防的な働きかけの実態を明らかにすることである. 1.研究方法 小規模ケアの場としての立ち上げも早く、サーピスの質を上げるための取り組みを積極的に行っている2ヶ所の痴呆性高齢者グループホームにおいて実施した. 研究対象者は、ケア提供者5名(男性2名、女性3名)は平均年齢37.2歳、職種は看護師1名、介護福祉士3名、社会福祉士1名であり、高齢者ケアへの経験平均年数6.8年(4年〜11年)であった.痴呆性高齢者4名(女性)は平均年齢80.8歳、痴呆の重度はN式老年者用精神状態尺度17〜25の中等度であった.主な行動障害としては、暴言、暴力、徘徊、幻視などが見られた. データ収集は,ケア提供者へのインタビュウと、ケア提供者による痴呆性高齢者への関わりの場面の観察により実施した.研究計画は本学部研究倫理委員会による審査を受け承認された.研究対象者には口頭と文書で説明し、ケア提供者と高齢者の家族それぞれから同意書を得た. 2.研究結果 質的データを分析したところ,ケア提供者による痴呆性高齢者の行動障害の緩和,予防のための働きかけとして,次のようなカテゴリーが抽出された.表出された行動に対して、基本的には「原因を探り」ながら「ごまかしたりせず」、「その場で対応」し、「説得よりも納得」してもらうようにする.具体的には「気分を変える」「動かす」「一人ではない,私がいる」ことを言葉と対応で示す、ということであった.
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