研究課題/領域番号 |
14572306
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
平澤 美恵子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40211510)
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研究分担者 |
橋本 佳美 杏林大学, 保健学部・看護学科, 講師 (60286424)
新田 真弓 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (00318875)
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キーワード | 母乳育児継続支援 / 助産師による家庭訪問 / 母親の疲労蓄積 / 適切な相談者が得にくい / 専門能力の高い人材の育成 |
研究概要 |
平成16年度は、昨年に引き続きNICUを退院した低出生体重児の母乳育児支援に必要なサポート体制作りを目的に、専門助産師による家庭訪問を行った。対象はN医療センターを退院し家庭訪問を希望した母親25名である。退院後の育児に関する調査票を作成し、退院後2週間前後に家庭訪問を行った。訪問時に必要な援助を行いながら、母子の健康状態、授乳状況、母親へのサポートの有無、訪問時の母親の心配や不安などを、半構成面接を行った。 25名中、初産婦が20名、経産婦が5名であった。うち多胎が4組で、双胎が3組、品胎が1組であった。母親の年齢の平均は33.3歳、在胎週数平均29.7週、退院時体重平均2,454gであった。訪問日は退院後平均24日に行った。訪問時の栄養方法は、直接母乳10名他、直母乳に搾母乳を補充し、多くの母親は母乳栄養を継続していた。退院後の育児支援者は夫のみが12名、支援者がいないが1名と、総体的に支援者が少ない現状であった。 今回の家庭訪問を通して、養育者の背景と家族の問題が明らかになった。子どもは身体機能の未熟さから生じる諸問題と、養育者は子育ての見通しが持ちにくい、適切な相談者が得にくい等から育児疲労が蓄積していた。訪問の効果では、養育中の疑問が生活の場で解消したこと、母乳の意義を深く理解できたこと、乳房ケアなど直接ケアを受け安心した事など、心理的な安定が図られた。しかし、4件の多胎児の訪問では、援助者が夫以外にいない、品胎では子どもにテプラを張って授乳量や回数を確認するなど、涙ぐましい努力を行っており、母親は疲労が蓄積し健康障害が危惧された。母乳育児推進には退院後、NICUで関わったプライマリ看護者が退院直後から訪問を行い、地域の援助者に引き継ぐような体制が必要である。それには、低出生体重児の育児支援を一貫して行える、専門能力の高い人材の育成が求められる。
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