8月4日-22日には、アメリカに出張し、化学哲学(ワシントンD.C.)の国際学会とアメリカ化学会の化学史分科会(ボストン)でメンデレーエフとロシア化学会に関する研究発表を行った。あわせて、議会図書館(ワシントン)、Chemical Heritage Foundation図書室(フィラデルフィア)およびハーヴァード大学付属図書館(ケンブリッジ)でロシア化学会および化学史に関する資料を収集し、さらにアメリカのロシア化学史研究者と研究交流を行った。9月15日から10月1日にはサンクト・ペテルブルグならびにヘルシンキにおいて、現地の文書館と図書館で資料収集と同地の研究者との研究交流を行った。国内でも5月に金沢で開かれた日本科学史学会での年会総会に参加して、研究交流を行った。以上のようにして収集した資料や、研究交流によって得られた情報については、一部発表した。ロシア化学会誌所載の議事録の整理を進め、とくにロシアの化学者の中でも、メンデレーエフ(1834-1907)とヴェルナツキー(1863-1945)という2人を各世代の代表として注目して集中的な研究を進めた。前者に関しては、その周期律発見とロシア化学会の関係という観点からの論文の執筆を進めるとともに、メンデレーエフの伝記的な研究に関してアメリカの研究者との共同研究を開始した。またメンデレーエフの息子と明治日本との関係に関する新史料を発見したので、その発表を準備している。後者については、その重要な著作の翻訳を進めるとともに、地球化学のヴェルナツキーを通しての日本への導入というテーマでロシアの研究者との共同研究を進めている。
|