研究課題/領域番号 |
14580008
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
矢野 道雄 京都産業大学, 文化学部, 教授 (40065868)
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研究分担者 |
山本 啓二 京都産業大学, 文化学部, 助教授 (60329927)
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キーワード | イスラーム科学 / アラビア語書写本 / フダバフシュ図書館 / ジャンタル・マンタル / ジャイシング / アル・ビールーニー / マスーウード宝典 / クーシュヤール |
研究概要 |
8月18日から8月28日まで、共同研究者山本とともにインドでアラビア語資料の調査と収集を行った。東京大学大学院後期博士課程在学中の三村太郎氏も彼自身の科研費により同行したので、文献の撮影の補助などの協力を受け、より効果的な調査ができた。デリーのハムダード大学とパトナのフダバクシュ図書館では3人が行動を共にし、その後二手に分かれ、矢野と三村はトンクのアラビア語・ペルシア語文献図書館とジャイプルの宮廷図書館で天文学と数学のアラビア語写本の調査を行い、山本はラームプルのラザ図書館で天文学と占星術・数学書の写本をデジタルカメラに収録した。パトナでは枚数制限のため写本の写真撮影は約100枚にとどまったが、ラームプルではおよそ600枚のアラビア語写本をデジタルカメラに収録することができた。 ジャイプルでは2日間にわたってジャンタル・マンタル天文台を訪問し、台長に面会し、台長自らの案内を受け、ジャイシング王の統治の下で、イスラーム科学とインド科学が共存していた様子を詳しく見聞することができた。ジャイシン王の宮廷の図書館の写本目録を入手し、そのコレクションが自然科学にたいするジャイシン王の態度をよく示していることがわかり、本研究テーマに関しては、王の役割がきわめて大きいことを確認した。 矢野と山本は以前行なっていたインド通の博学者アル・ビールーニーの『占星術入門』の校訂作業を継続し、その出版のための準備をした。アル・ビールーニーの代表的な天文学作品である『マスウード宝典』については、矢野が昨年アリガルで撮影した写本を用いて研究を行っている。さらに昨年収集したクーシュヤールの天文学書『天体の大きさと距離について』の写本の校訂と和訳を完成した。引き続いて英訳と訳注を準備しており、今年の国際科学史学会で発表するための準備をしている。
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