研究概要 |
本研究の目的は,女性の運動に伴う同化ホルモン応答を反映する指標として副腎皮質由来のdehydroepiandrosterone (DHEA)に着目し,継続的な運動に伴う応答性を評価し,同化の指標となるか否かについて検討した.さらに,女性アスリートにおけるトレーニング状態の変化を把握するための指標として応用するために,DHEAと身体症状との関連性について検討した. 研究課題Iでは,女性のDHEAが運動に伴う同化ホルモン応答を反映する指標となるか否かについて検討した.その結果,DHEAの硫酸抱合型である血中DHEAS濃度は筋組織の同化に効果的とされるレジスタンストレーニングにより明らかに増加した.また,その変化は筋量の変化と明らかな相関関係が認められたことから,女性のDHEAはレジスタンストレーニングに伴う身体の同化を反映する内分泌学的指標となる可能性が示された. 研究課題IIでは,女性アスリートのトレーニング状況に伴う身体的・心理的変化は内分泌系の機能変化と深く関わっている.そこで,大学女性サッカー選手を対象に,試合期間中の唾液中DHEA動態について検討した.唾液中DHEA濃度は試合前に比べ試合期に明らかに増加し,疲労を伴う過剰なトレーニング環境下で顕著に増加した.このため女性アスリートにおいて,DHEAはトレーニング変化に応答する内分泌学的因子となる可能性が示された. 以上のことから,DHEAは女性の運動に対する同化ホルモン因子として重要な役割をしている可能性が考えられる.
|