研究課題/領域番号 |
14580015
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
粕谷 善俊 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (70221877)
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研究分担者 |
宮内 卓 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (60222329)
西山 真理子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00092081)
木村 定雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40134225)
松田 光生 筑波大学, 体育科学系, 教授 (20110702)
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キーワード | 心肥大 / PPAR-α / fenofibrate / エンドセリン(ET)-1 / ラット心筋細胞 / 冠動脈結紮モデルラット / MAPキナーゼ / JNK |
研究概要 |
初代培養ラット心筋細胞を用いて、エンドセリン-1(ET-1)の肥大シグナルに対して、細胞における脂質代謝に密接に関与するとされる転写因子:peroxisome proliferator-activated receptor-α(PPAR-α)のligandであるfenofibrate処置による効果を検討した。 1)fenofibrateおよびのPPAR-αの強制発現は、ET-1による心筋細胞の肥大・蛋白合成促進を有意に抑制した。 2)fenofibrateは、ET-1によるプロトオンコジーン:c-Junの発現およびリン酸化の亢進を、有意に抑制した。そして、この効果の発現には、少なくともMAPキナーゼの1つc-Jun N-terminalキナーゼ(JNK)に対する抑制作用が考えられた。 3)fenofibrateは、ET-1によって亢進される転写因子:AP-1のDNA結合を有意に抑制した。 4)fenofibrateは、ET-1によって亢進されるET-1mRNAの発現を有意に抑制し、この効果は、ET-1遺伝子のプロモーター領域に存在するAP-1結合領域の転写活性に対する作用を介することが、点変異実験より明らかとなった。 5)冠動脈結紮モデルラットにおいて、左心室重量の増加がfenofibrateの前処置により有意に抑制された。また、この現象は心筋組織内のET-1mRNA発現量の増減と相関していた。 以上の結果から、内因性心肥大誘発因子であるET-1の効果に対して、PPAR-α ligandであるfenofibrateは転写レベルでET-1mRNAの発現を制御し、心肥大の進展にcounter effectを示すことが示唆された。この研究成果は,国際学術誌Circulationの2004年109巻p904-910に掲載された。
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