本年度は、総合型地域スポーツクラブにおけるクラブマネジメントの課題を明らかにすることを目的とした。そこで、全国に既設されている504のスポーツクラブ(クラブマネジャー)を対象に質問紙調査を実施した(有効回答数346、回収率68.7%)。 主要な結果は次の通りである。 1)クラブへの運営参加に対する認識は、運営役員と一般会員では大きな隔たりがある。 2)クラブにおけるマネジメントタスクを「クラブ理念・方針や事業計画の検討」「事務的活動」「個別事業の企画・運営」「経営資源の調達・整備」の4つに分類し、運営役員と一般会員の関与の状況を調べたところ、「クラブ理念・方針や事業計画の検討」及び「事務的活動」については、ほとんど一般会員の参加はなく、事業への運営参加や資源の調達に関わるタスクについては3〜4割のクラブで会員の参加がみられた。 3)クラブの意思決定については、大半のクラブで運営委員会が担っており、会員の参加はみられない。 4)会員参加を促す方策を講じているクラブは、全体の38.3%と必ずしも多くない。しかし、「今後対策を練ろうとしている」クラブを含めると9割を超えており、会員の運営参加システムを模索している段階であると考えられる。 5)会員の運営参加を阻害する要因については、時間的・労力手な負担感、会員の入会目的の割合が高い。会員の入会プロセスにおいて、クラブの理念や趣旨の説明が充分になされ、理念への賛同を取り付けるという手続きがとられていないクラブが多いと推察される。
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