研究課題
基盤研究(C)
本研究は、戦後に学校教育課程に教科として位置づけられた保健科の成立過程を明らかにした。保健科の誕生は、単独教科としてではなく、体育科との合科型教科「保健体育科」として誕生した。合科型教科の成立には、戦前・戦中・戦後の思想的連続性と戦後の占領軍の影響によって成立した。特に第一次米国対日教育使節団がレポートした報告書は教育改革に大きな影響力をもった。また、第一次米国教育使節団の来日を前にして、日本側の使節団受け入れ態勢として文部省に体育局が設置されていたことが、合科教科の設立の一要因ともなった。戦前からの思想的影響力は、戦後の文部省機構体制にも現れていた。本研究では、これまで収集されていない資料の収集や、当時の文部省関係者へのインタビューも実施した。資料の面では、(1)本報告書の巻末に示したGHQ/SCAP, Reacordsを体系的にまとめ上げたこと、(2)アイオワ大学スペシャルコレクションのC.H.マックロイ文書のデジタル処理化を行ったこと、インタビューについては、終戦直後の文部省体育局に在職していた竹内光春氏、江橋慎四郎氏に当時の教育改革の状況を調査したことが一つの成果といえる。以上に示したこれまでに使用されていなかった資料やインタビューによって、保健科と体育科は歴史的必然性と偶然性が重なり合いながら合科型教科「保健体育科」として誕生したことを明確にした。本研究は、戦後教育改革期を中心に検討を行ったために、戦前・戦中の考察は最小限に止めているが、本研究の新たな研究視点として、戦前・戦中の歴史状況との関わりによって、より考察が深められる結論づけた。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (10件)
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