研究の目的は、バスケットボールの授業を通して、チームプレーや協力することの大切さを知り、友達同士で喜びを共感できるような児童を育成することである。具体的な方策として、1)ゲーム中心の単元を構想し、学習を振り返る場を多く設けることによって、技能の高い子が活躍できない子の思いに気づき、チームプレーを心がけたり協力できることと、2)みんなが活躍できるようなオリジナルルールを考えることによって、思いやりの心が育つことを目的とした。 検証の方法としては、一連の学習を通して、同じチームとなった、運動が得意なA男と運動に意欲的でないB子という対照的な二人の、チーム内での活動や思いの変化を追究していった。 研究の成果については、ここでは、A男とB子のデータ変容についてのみ記述する。1)B子のリーグ戦初日と最終日の軌跡図をみると、初めはコート中央付近しか動いていなかったB子が、オリジナルルールやA男たちチームメイトの協力で、最終戦ではコート全体を使ってゲームを行っていることが分かる。2)A男については、シュート数は減ったものの得点数に差は見られないこと、ファールやバイオレーションの数が減ったことから、無理なシュートや強引なプレーがなくなったことが伺える。また、ドリブルの数が減り、パスの数が増えていることから、後半ではチームプレーを意識してパスを使ったゲームを行えていたことが分かる。一方、B子については、得点、シュート、パス、ドリブルすべてにおいて、歴然と増加しており、意欲的にバスケットボールの学習に取り組めるようになったことが伺える。
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