研究概要 |
本研究では,ヒト(指導者)がヒト(顧客としてのスポーツ生活者)に対して対人的にスポーツサービスを提供するという,最もヒューマン・サービス業らしい組織でなければならない民間スポーツ・フィットネスクラブ経営組織を対象に,そうした不可視的な技術システムや戦略の特性について実証的に明確にするとともに,「ヒューマン・サービス組織の理論(記述)モデル」を構築することを究極的な研究目的とする。こうした研究目的を達成するために,本研究では「研究対象となる現在の民間スポーツ・フィットネスクラブ市場ないしは市場環境の推測から,スポーツマーケティング管理技術や戦略展開の特性を主観的に既定してしまってよいのか」(課題A)ということと,「そうしたスポーツマーケティング管理技術や戦略展開の特性とヒューマン・サービス組織との関係をどのように概念化したらよいのか」(課題B)という2つの課題を設定した。したがって,本年度は,前者の「課題A」,すなわち「民間スポーツ・フィットネスクラブ経営組織に求められるスポーツマーケティング管理技術とスポーツサービス戦略の特性」について研究を進めた。 具体的には,平成11〜12年度の奨励研究(A)の調査票回収クラブ218の中から任意に5ヶ所の民間スポーツ・フィットネスクラブ経営組織を選定・訪問し,経営者・支配人に対して「スポーツサービス創造技術の特異性に関するインタビュー調査」を実施した。その結果,スポーツサービス創造技術の特異性(スポーツマーケティング管理技術や戦略展開の特性)として,「1.多様性」「2.自律性」「3.タスク・アイデンティティ」「4.有意味性」「5.フィードバック性」という5つの次元を抽出することができた。次年度は,こうした5つのスポーツマーケティング管理技術から,ヒューマン・サービス組織の構造を概念化し,実証的に検証していくことが喫緊の課題である。
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