研究課題/領域番号 |
14580041
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 秀樹 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90180645)
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研究分担者 |
清原 泰治 高知女子大学, 文化学部, 助教授 (00225096)
米谷 正造 川崎医療福祉大学, 健康体育学科, 助教授 (00220765)
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キーワード | グリーン・ツーリズム / 自然環境保護 / 地域の活性化 / 中山間地域 / 四万十ドラマ / カヌー産業 / 自然体験型レジャー活動 / 高知県四万十川 |
研究概要 |
本研究の目的は、自然体験型レジャー活動が自然環境の保護と地域振興の両立をはかるという「中山間地域振興問題」にいかに機能しうるか、その実態と可能性を、高知県四万十川流域をフィールドに明らかにしていくことであった。昨年度は、諸文献を検討しながら「グリーン・ツーリズムにおける自然環境保護の基本的方向性-人間と自然の関係性から探る-」という論文(「健康科学」24巻にまとめた。今年度は、昨年度よりのアンケート・聞き取り調査を継続し、それをまとめることをねらいとした。 第一は、地元の新しい振興対策を示す典型例についてである。四万十川中流域の大正町・十和村・西土佐村の1町2村は、以前から高知県北幡多地域として自治体間及び住民間で様々な面で協力関係にあった。そのような歴史的経緯から、平成にはいり四万十川の環境保全とそれにかかわるグリーン・ツーリズム事業を軸に中山間地域の活性化のために、行政主体の株式会社「四万十ドラマ」が設立された。四万十ドラマの事業は、四万十川流域の住民組織関係諸団体を中心に構成されており、都市在住者が求める環境保全・自然回帰のニーズに対応し、宿泊型体験プログラム、産地直送農産物、そして流域住民との共同作業などを企画し、継続的な関係構築を日指している。 当初は行政主体であった四万十ドラマは、住民意識の向上、Uターン・Iターンの増加などにより、住民代表の株式会社役員や活動者、そして事務局職員を中心にその活動と賛同者の輪を広げている。単なる自然環境の豊富さだけを資源とした中山間地域の振興ではない事例、また行政の範疇にこだわらず複数行政が共有する四万十川という自然を資源として集約的に地域振興を図ってきた事例は、今後のグリーン・ツーリズムを通じた中山間地域のモデルとなる。 第二に、「西土佐村における地域の活性化にいかすカヌー産業振興の方向性」と題して、地域づくりのためのスポーツはいかにあるべきかを検討した。そこでは、西土佐村の活性化にカヌー産業を役立てるにはどうすればよいか、アンケート調査によって得られたデータをもとに、地域振興の機能を発揮できているかどうかを検証し、望ましい展開を目指した提言をおこなうことが目的とされた。 西土佐村のカヌー産業の現状と課題を、カヌー客へのアンケート調査によって浮き彫りにするとともに、昨年9月におこなった北海道釧路川のカヌー産業についての予備調査を参照しながら、(1)サービスの向上(2)川下りのターゲットの明確化(3)広報の工夫(4)リピーターの獲得の工夫(5)カヌー業者、民宿、村外観光業者の連携強化(6)カヌー以外の事業の展開、のそれぞれの方向性を提示した。
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