本年度は、子どもの「こころ」と「からだ」の問題を半健康的視点から一元論的に捉え、その様相を多次元構造的に解析するとともに、状態的変動を分析し得る指数の導出を図り、半健康状態の変動予測を可能にし、健康破綻の早期発見に寄与し得る評価システムを構築することを目的とした研究の実施初年度であり、以下のような研究展開に基づく結果を得た。 子どもの半健康概念を再吟味するため、内外における最新の知見を整理した。その結果、子どもの健康に関して半健康の視点から追究した例がみられないことを確認した。ただし、生理心理学的視点から尺度化した指標を用いて健康評価を展開している研究例がみられたため、行動的特性・生理的応答等について詳細な情報収集を行った。さらに予備調査の結果も踏まえ、自覚症状、不定愁訴、生活行動、体力、バイタルサイン等の内容を含んだ最終的な「子ども版半健康調査票」を開発した。そして、その「子ども版半健康調査票」を用いて、2千人の小学生を対象とした標本調査を実施した。データ整理と分析は作業継続中であり、知見の詳細については次年度に国内外の学術学会等で公表する。特に、アメリカにおいて、臨床的観点から子どもの健康現象を分析した興味深い研究例がみられ、半健康評価への適用可能性が強く示唆されたことから渡米し詳細な情報収集・分析を行った。その結果半健康評価の客観軸としてのバイタルサインの重要性・妥当性等に関する貴重な知見が得られたため、次年度に展開する子どもの半健康評価システムの構築に活用したい。
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