研究概要 |
本年度は、子どもの「こころ」と「からだ」の問題を半健康的視点から一元的に捉え、その様相を多次元構造的に解析するとともに、状態的変動を把握・分析可能な指数の導出を図り、半健康状態の変動予測を可能にしながら子どもの健康破綻の早期発見に寄与し得る評価システムを構築することを目的とした研究の実施二年度目であり、以下のような研究展開に基づく結果を得た。 昨年度開発・実施した「子ども版半健康調査票」のデータ整理と分析の結果から幾つかの興味ある知見を得た。第一に、子どもの半健康の多次元構造は四次元空間を構成していることが最適構造解として導出された。この空間構造は、これまでの関連研究で得られている一般成人(主に中高年者)における空間構造と酷似の様相を呈していた。従って、本研究の結果は、半健康空間が年齢・性に依存しない安定構造にあることを実証する形となった。第二に、第一主成分得点が子どもの半健康状態を量的に示す総合的指標と解釈できたことから、半健康指数として半健康水準の評価に活用することが可能になった。その適用により、我が国の子どもにおける半健康分布を導出することができた。なお、これらの研究成果は、2003年10月15日から19日にかけて、アメリカ合衆国(El Paso, Taxas)で開催された77th Annual School Health Conference of the American School Health Associationにおいて、演題「On a distribution of school-aged children with semihealth symptoms in Japan」として学術発表した。
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