研究概要 |
本研究の目的は、我が国における学齢期にある子どもの半健康状態の多次元構造を解研すること、多次元空間における構成尺度を決定すること、子どもの過渡的健康水準を示す半健康指数モデルを提示すること、半健康徴候の全国分布を明らかにすること等にあった。そのため、自覚症状に基づく身体的・精神的状態に関する内容、日常的な生活行動・意識に関する内容、属性的内容、身長・体重の身体形態的内容等、53項目から成る半健康質問票を用い、2003年に、小学生(6学年:2,014名)を対象とした本調査を実施した。データ精査を行った結果得られた分析有効データ(1,906サンプル分)に対して、半健康の状態的構成要素を抽出しその構造的特性を明らかにするために主成分分析法を施した。その結果、子どもの半健康の多次元構造が四次元空間を構成していること、第一主成分得点が子どもの半健康状態を量的に示す総合的指標として扱うことが可能であること等が明らかになった。そこで、第一主成分得点を半健康指数として採用し、林の数量化2類を施した(外的基準:半健康群/健常群)。分析モデルにおいて、半健康指数が子どもの健康状態識別(半健康群/健常群)に最大寄与を示したことから、半健康指数に基づく半健康分布曲線を描くことが可能になった。この分布曲線を適用することにより、子どもにおける半健康状態と健常状態の閾値を意味するカットオフポイントが設定され、半健康状態の予測も可能になった。尚、これらの研究成果は、「On a distribution of school-aged children with semihealth symptoms in Japan」(77th Annual School Health Conference of the American School Health Association), 「The multi-dimensional scalings and spatial structure of semi-health symptoms among school-aged children in Japan」(18th World Conference on Health Promotion and Health Education)において学術発表した。
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