研究概要 |
中高校生の「ゆとり」経験が、学校週5日制の完全実施前後で、どう変化したか、あるいは変化しなかったかを明らかにすることを主目的とした本研究は、本年度が最終年度である。具体的には、平成14年度から始まった完全学校週5日制における中高生の一週間の日常生活経験データを、携帯電話型端末を用いたExperience Sampling Methodにより収集し、すでに同じ手法で本研究者が平成13年以前に収集してきた制度導入以前のデータと比較検討した。 データ収集は平成14年12月から平成16年11月まで行った。調査は、校長と教員、生徒本人と保護者に十分に理解いただいた上で実施した。当初、教育委員会や教員組織などを通じて参加協力校を見つける努力を続けたが、「調査の重要性は理解できる」とは言いつつも、学力論議への影響を考慮してか調査協力を躊躇する教員・管理職が予想以上に多く、計画を一部変更せざるを得なかった。しかし、結果として、中学生は6校から210名、7,503場面、高校生は5校から210名、7,437場面の日常生活経験のサンプルデータを収集した。そこから、あらかじめ定めておいたサンプルデータ数の基準に満たなかった生徒のデータを除外し、中学生の4,572場面、高校生の4,472場面の日常生活経験を得た。 分析の結果、全体として次ぎのような知見を得た。 ・ゆとり感は、有意な変化は認められなかった。 ・気分は、より自由、より幸せ、より安らかな傾向が認められたが、退屈感が強くなった。 ・活動は、「テレビゲーム」、「休息・休憩」、「電話」などが減少し、「携帯メール」、「テレビ、ビデオの視聴」、「インターネット」、「外出(ショッピング、ゲームセンターなど)」などが増加した。 ・場所は「交通機関」「商業施設」が増加した。 ・同伴者は、変化が認められなかった。
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