研究課題/領域番号 |
14580061
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
与那 正栄 (貴邑 冨久子) 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30120158)
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研究分担者 |
室 増男 東邦大学, 医学部, 教授 (80112887)
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キーワード | 皮膚冷刺激 / 軽負荷筋力トレーニング / 高齢者 / 運動単位 / detraining / 最大筋力 / 筋活動量 |
研究概要 |
1.皮膚冷刺激トレーニングを効果的に用いるための皮膚冷刺激温度の検討 14年度におけるトレーニングは皮膚冷刺激として皮膚温25度を用いてきたが、25度以下の皮膚温における運動単位への影響を検討することで、皮膚冷刺激筋力トレーニングへの応用が可能となる。そこで皮膚温を低下させ、3つの減衰相(急峻相・緩徐相・超緩徐相)から2つの変曲点を決定し、その変曲点前後1度における30%ランプ収縮時の運動単位閾値張力の変化を検討した。その結果、皮膚温25度以前では高閾値運動単位に対し選択的促通が示されるが、25度以下に皮膚温が低下すると高閾値運動単位に対する選択的促通効果は消失した。この結果より、皮膚冷刺激を用いる筋力トレーニングを行う場合、効果的な皮膚温は25度までであることが示唆された。 2.皮膚冷刺激が低負荷筋力trainingとdetrainingに及ぼす影響 皮膚冷刺激を用い、最大筋力の35%で3秒収縮-3秒休息を50回、1回/日で6週間(4回/週)の筋力トレーニングを行わせ、その後5ケ月のdetraining期間をとり、各々の筋力変化を検討した。その結果、トレーニング終了後の最大筋力および筋活動量は有意に増加し、5ケ月後においても最大筋力および筋活動量の減少は示されなかった。この結果より、皮膚冷刺激を用いた筋力トレーニングは神経性適応を長期間残存させることが示唆された。 3.高齢者への皮膚冷刺激を用いた軽負荷筋力トレーニングの検討 某市在住のデーサービスに通う高齢者16名(平均年齢80歳)を、対照群4名(Cont)、筋力トレーニング群3名(NCT)、皮膚冷刺激筋力トレーニング群9名(CT)の3群に分けた。被験筋は膝屈曲筋群を用いて、最大筋力の35%で3秒収縮-3秒休息を25回4セット、1回/週で8週間トレーニングした。トレーニングには弾性ゴムを用いた。トレーニング指導は老人養護施設の指導員によって行われた。その結果、ContおよびNCTの右脚では最大膝屈曲力の増加が示されなかったが、NCTの左脚およびCTでは有意に最大膝屈曲力の増加が認められた。筋活動量では屈曲力の増加と同様な結果を示した。この結果より、皮膚冷刺激を用いた筋力トレーニング法は、日常生活程度の軽負荷で大きな筋力利得を得られることが示された。軽負荷のトレーニングのため筋損傷の可能性を低く抑えることができ、今後、中高年者やリハビリテーションに有効なトレーニング方法であることが立証された。
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