研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、様々な筋における運動単位の発射様式を解明することにより、筋間における力調節の神経制御メカニズムの異同性を脊髄レベルで明らかにすることであった。具体的には、大きな筋の代表として大腿の伸筋を、そして小さな筋の代表として小指外転筋をそれぞれ被験筋としてそれぞれの運動単位発射様式を比較するものであった。その結果、当該研究期間においては上記の目的を完全に達成することはできなかったものの、大腿伸筋の代表として内側広筋を対象におこなった実験において、いくつかの重要な知見か得られた。まず、試作した四極ワイヤー電極を用いることによって、針電極では得ることができなかった安定した筋内電気信号を得ることができるようになった。力目標値を50%MVCに設定した台形力発揮においては、動員閾値の低い運動単位は、動員閾値の高い運動単位よりも常に高頻度で発射していた。この現象は、Erim & DE Luca(1996)が報告しているOnion skin phen omenonと一致することが判明した。また、同筋においておこなわれたランプ力発揮課題では、50%MVCを超えるカレベルにおいても新たな運動単位が動員されることなどが分かった。さらに、出来る限りすばやい力発揮課題においては、通常では考えられないような高頻度での運動単位の発射が認められた。以上のことから、内側広筋のようにinternal shorteningの大きな筋においても、四極ワイヤー電極を用いることによって安定した筋内電気信号を得ることが出来るようになった。今後は、本研究期間内で達成出来なかった小さな筋における運動単位発射様式の解明をおこない、筋間における力調節機構の異同性について明らかにしていきたい。
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人文科学研究所紀要 (印刷中)
Journal of Humanities, Meiji University (in Japanese) (in press)
Journal of Humanities, Meiji University 8
ページ: 55-68