今年度は、近代ドイツにおける体操協会と自主消防団関連資料の調査、収集を中心に研究活動を行ったが、あわせ本研究テーマとの関連で前年度までに獲得した研究助成金で購入・収集した資料を活用し、その成果を国際学会で報告し、論文を執筆した。 まず最初に資料調査、収集の実績の概要を記すと、ドレスデン、ライプツィヒの国家文書史料館(Staatliches Archiv)、市文書史料館(Stadtarchiv)に所蔵されている各種資料を検索、収集した。ドレスデンとライプツィヒは同時代の西南ドイツ地域とならんで、1848/49年革命後前後から19世紀を通じてドイツにおける体操協会運動のセンター的役割を果たした体操協会が存在する都市であり、これら協会の生成ならびに活動の実態について調査、研究することは本研究テーマにとって不可欠な作業に属する。今回の資料収集では、幸いにも第2次大戦の爆撃を逃れて存在している希少かつ貴重な資料を入手することができ、今後の研究活動にとって大変有意義であった。 国際学会に関しては、2002年7月同志社大学で開催された第5回日独スポーツ科学会議で報告し、そのフルペーパーは加筆され『立命館大学人文科学研究所紀要』第81号に掲載されている。当論文は独語で書かれたものだが、主に日本の近代以降のスポーツを素材にしつつも、ドイツの結社に見られる相互扶助機能とも比較しつつ、その問題・課題を逆説的に論じている。 また、かねてより準備していた資料を活用し、ドイツ・チュービンゲン市の自主消防団の生成と活動に関する叙述を含めた西南ドイツのトゥルネン(体操)協会運動に関する論文を発表した。
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