研究概要 |
最初に,統計資料の分析や既存研究の知見の整理、予備的なインタビュー調査などを通じ,地方圏の情報サービス産業の存立基盤を考察するために重要な論点を抽出した.その結果を踏まえて,大都市圏での労働の経験によって高度な技術や知識を身につけた地方圏出身者の創業者や情報技術者としての還流や,その地方圏情報サービス産業の技術水準に対する寄与,および,情報サービス企業の創業プロセスに注目したアンケート調査を行うこととした.調査対象としては,東北地方および北海道に立地する情報サービス企業選定した.アンケートはNTTインターネットタウンページから東北地方および北海道に立地する情報サービス企業を約3,500社抽出し,事業所用,従業員用および創業者用の調査票を郵送で送付し,回収した.試行的な集計では,創業者,従業員の双方の30〜40%程度が還流移動者であることが判明している.また,還流移動者の創業した企業と地力定着型の創業者の企業とでは、東京大都市圏の顧客への依存率や従業員調達の方法など、企業経営の実態に相違が見られる.こうした相違をもたらす要因の検討は,アンケート調査のデータ分析のみでは不十分であるので,平成15年度には地方圏情報サービス企業の創業者に対するインテンシブなインタビュー調査を予定している.
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