前年度より継続して、経年的な分析のために「全国マンション市場動向」のデータ入力作業、1970〜1980年代のデータ収集・入力作業を実施した。また、バブル期を挟む1983〜2000年を全部で6ステージに分け、3大都市圏における供給実績と価格推移についての図面の作成を終えた。この成果については、人文地理学会都市圏研究部会(4月26日)において「バブル期前後のマンション供給動向の都市圏比較」というタイトルで口頭発表し、成果の一部(中京大都市圏)は他の科研費報告書(基盤研究(B)(1)、課題番号:14380027「21世紀の社会経済情勢下における我が国大都市圏の空間構造」、研究代表者:富田和暁)にも公表した。3大都市圏と同時に研究を進めている広域中心都市の都市圏に関しては、分譲マンション供給が顕著な札幌市中央区について、東北地理学会春季学術大会において「バブル期前後における札幌市中央区の分譲マンション立地の特徴とその変化」と題して口頭発表し、発表後に札幌まで継続出張のうえ現地調査を実施した。他の広域中心都市の都市圏についてはデータ整理を行っているが、細かな分析については作業量が膨大になるため、とりあえず札幌市中央区を深く掘り下げる意向である。仙台・広島・福岡についてはデータ分析と都心地区の旧版住宅地図および現地調査を併用しつつ、3つのうちのいずれかで札幌市と同様の研究を比較考察しながら進める予定である。広域中心都市よりも規模が小さな都市圏については当初は予定していなかったものの、昨今の情勢を鑑みて岡山市全域における分譲マンション供給に関わる研究を進行中である。この結果の中間報告は、日本地理学会秋季学術大会において「バブル期前後における分譲マンション供給地域の変化-岡山市の場合-」と題して口頭発表した。以上の研究成果については、京都市都心部のマンション立地に関連する別記論文の公表に留まっているので、最終年度における研究の推進に並行して、論文等に順次まとめていく所存である。
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