研究課題/領域番号 |
14580090
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山口 守人 熊本大学, 文学部, 教授 (30015581)
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研究分担者 |
草野 美智子 熊本電波工業高等専門学校, 一般・助教授 (70311115)
石和 理恵子 熊本大学, 文学部, 助手 (20336192)
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キーワード | 民族的マイノリティー / 生活空間 / 官営移民 / 私営移民 / 台湾 / 石垣 / 日僑 / 琉僑 |
研究概要 |
訪台に先き立ち、台湾協会・日台交流センターほかを訪ね、それらに所蔵されている台湾総監府、台東庁、花蓮港庁等の編集の統計書、移民事業報告書、要覧などを参考に、いわゆる本土からの農業移民(日僑)が、さらに琉球からの漁業移民が、それぞれ組織的に入植し、村建てを行っていた旧吉野村(現、花蓮県吉安郷吉安村)、旧鹿野村(現、台東県鹿野郷鹿野村)、旧琉球村(現、基隆市中正区社寮)を今年度の調査地域に選定した。最初に訪ねた社寮里では、かつてカツオ節造りに励んだ日本人社会の存在を知っている地元民はいても、彼らの社会の全容を熟知している人には遂に遭遇できず、次回調査の手がかりを得るのみとなったが、逆に1990年代になって、地元基隆の遠洋漁業者に雇われ来台してきた沖縄県民の存在を知ったが、その社会の内容を握むまでには至らなかった。続いて、吉安村の調査では吉安郷公所の全面的な協力によって、旧吉安村を構成していた三つの日僑農業移民集落(宮前、清水、草分)のロケーションだけでなく、耕地・屋敷地・用排水路等を含めた集落景観の復元に必要な史資料をほヾ入手し終えた。また聴き取り調査では、当時の甘蔗栽培小作農民の生活実態も把握できたと同時に、その小作システムが改変されて、日僑農民が立ち去った後に、入植した主として本章人からなる地元農民の甘蔗栽培システムを規定していたことも明らかになった。鹿野村では、私営移民による村建てであったためか、日領時代の村落社会の姿がなお明確でなく、むしろ国民党政権の長期化のためか、画一化された台湾農村の姿が浮かび上がってきた。
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