研究概要 |
本研究は,近年における華人社会のグローバル化に伴って,国内および世界各地の従来の華人社会およびチャイナタウンが、いかに動態的に変容しつつあるかということについて考察することを目的としている。 本年度は,研究計画の2年度目にあたり,昨年度に続き、日本および海外各地の華人社会に関する文献,統計,地図などの資料収集を行い、データベース化に努めるとともに、各地で現地調査を実施した。 海外では、タイ北部における華人社会と中国との関係、上海では中国の改革開放政策実施後、海外華人資本の中国大陸への投下などの実情を知るために現地調査を行った。 国内では東京、横浜、福岡などにおいて、日本国内の華人社会の歴史と現状、とりわけ「新華僑」と呼ばれる改革開放政策実施後に来日した中国新移民について、資料収集や聞き取り調査を実施した。 本年度の研究で明らかになった最も重要な点は、以下のとおりである。 最近における中国の経済発展は、海外の華人社会にも大きな影響を及ぼしている。例えば、海外の華人資本の中国大陸への投資が増えており、東南アジアやアメリカをはじめ世界各地の華人社会と中国との結びつきが、より深くなっている。また、中国の富裕層の資金が、アメリカをはじめ海外に流失し、海外の華人社会の成長を促している。その結果、都市郊外において、新しいチャイナタウンが、海外各地で形成されつつある。
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