研究概要 |
近年我が国の地震災害において、丘陵地等に造成された住宅団地等で多くの被害が発生し、人工的地形改変と地震被害の関連が問われている。本年度は、これらの事例のうち、地形改変の計測に使用可能な新旧大縮尺地形図と詳細な被害データが存在する釧路において、パイロットスタディを行った。 地図作製会社のデジタル写真測量技術者らと検討した結果、当初予定していた地形改変前の空中写真(釧路では1940年代米軍撮影のもの)からの直接的DEM生成については、厳密な位置あわせが不可能なことやレンズに関する正確な情報がないため、地形改変の計測に必要な精度でDEMを得ることは技術的に不可能であることが判明した。デジタル写真測量によるDEM生成手法の獲得は、次年度以降の仙台または神戸の事例にて試行することにして、代わりに、改変前の地形計測方法として、古い空中写真→アナログ図化機で等高線生成→DEM生成という手法をとることとした。地図作製業者との連携により上記DEM生成を行い、被災データを(再)入力して、現在解析中である。地図作製業者に委託したことにより、アルバイト学生によるデジタイザ入力に基づく既存研究(村山,1997)よりもはるかに広範囲でかつ正確な地形データが得られた。また、既存研究時と比べてGISソフトウェァが大幅にバージョンアップしたため、新たに解析手法(操作技術)を再検討し、その一連の手法を獲得することができた。既存研究との比較を含めて、上記手法の有効性を検証しているところである。
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