平成14年度のパイロットスタディにより、デジタル写真測量技術による直接的DEM抽出では精度を求めることが困難であると判明し、その代わりに、地図業者との連携による古い空中写真→アナログ図化機による等高線生成→デジタイズ→DEM生成という地形改変前のデータ生成手法がほぼ確立された。 本年度は、(1)14年度に得られた釧路のデータの解析を引き続き行うとともに、(2)15年度に上記のプロセスで得られた改変前の地形DEMに基づいて、仙台市泉区における1978年宮城県沖地震の被害について解析を継続し、(3)さらに神戸市垂水区において同様に上記のプロセスで得られたデータを基に、1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)における被害について、解析を開始した。 解析プロセスは以下の通りである。(1)GISを用いて、新旧地形のDEMを生成。(2)地形および地形改変に関する土地条件指標として、盛土厚、地形傾斜、盛土下の旧地形傾斜、切土部・盛土部・境界部(または切土盛土境界線からの距離)、凸指標(周辺の平均標高との差)を、GISを用いて生成。(3)上記の3地震災害事例について、戸建住家等の被害データを入力。(4)被害程度と土地条件指標との関連を、クロス集計と多変量解析(ロジスティック回帰分析法)によって分析。 これまでのところ得られた結果は以下の通りである。(a)釧路においては、主に盛土厚と、盛土下の旧地形傾斜が、半壊以上の建物被害と関連する。(b)仙台と神戸においては、切盛境界からの距離が、ある程度以上の建物被害と関連する。(c)ただし、解析結果による予測精度は、釧路に比べて良くない。 この他に、前年度発生の宮城県北部の地震、および本年度発生した新潟県中越地震による被害調査を実施し、とくに地形改変との関連について検討した。
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