研究概要 |
本年度は,6月,11月に現地調査を実施し,キモントウ沼および湧洞沼で湖底堆積物の採取をおこなった.いずれのコアについても,17世紀の噴火で噴出された有珠bテフラおよび樽前bテフラを確認することができた.現在,火山噴火や人為作用が流域に与えた影響を明らかにするため,これらの試料について粒度,鉱物組成,化学組成などに関する分析を行っている. また,当縁川下流域では,最近10~20年間の堆積速度を検討するために,根生え層準・年輪年代法の確立を主要な課題として,14本のオノエヤナギについて検討を行った.その結果,1984年以降について数年の精度で年代を確定できること,堆積速度を決定できることが明らかになった.また,河川の曲流と堆積速度の空間的な違いについても,年輪年代法によって検討できるデータを得た.また人工改変後に形成された自然堤防の詳細な測量を行った。現在、この地図の上に、湿原に生育しているヨシの遺伝子多様性の情報を表現するための作業を行っている。また、2002年度の調査結果の取りまとめ作業をすすめ、当縁川流域の本流および支流の土砂流出量比について計算した。 さらに当縁川の本流、支流に沿って分布するヨシ群落の存在場所を確認するとともに、群落のアイソザイム変異を調べ、下流の群落では遺伝的多様性が増加することを明らかにした。この事実はヨシ群落の形成に河川よる運搬が関与していることを示唆している。当縁川下流の湿地のヨシについてはAFLPによるクローン認識を行うための材料を獲得し、分析の準備を行った。
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