本年度は3年間の研究期間の初年度にあたり、主として史料の収集、古気候データベースの作成、災害に関連した民間行事の調査を行なった。 1.天候・災害記録の収集 気候変動の復元に重要な歴史時代の気候災害や防災祈願行事の記録を、滋賀、兵庫、大阪、岡山、鳥取、島根、広島、香川、高知、愛媛、金沢、宮崎の各県立、市立図書館などで収集した。具体的には日々の天候や風水害、またこれらを鎮めることを祈願する風祭などの祭祀を対象とし、これらについて広域より長期についての記事を抽出した。 2.古気候データベースの作成 これらを以前から構築中の「歴史気候データベース」に入力できるように、そのフォーマットに基づいて整理した。データベース作成のためには既存のパソコンを用いたほか、新たにDVDドライブ、ハードディスクなどの周辺機器を購入して、大量の情報を格納できるようにした。 3.災害にかんする民間行事の調査 気候災害にかんした民間行事として、奈良、岡山、鳥取、宮崎、福岡の各県で、神社や山上で行われる風祭や、風や水などの神を祀る祠堂などについて調査を行った。さらに地理情報システムを導入して、国土地理院の標高データや土地利用など国土数値情報のデータとこれらの分布を比較分析し、災害を受けやすい地域とその変遷の解明を試みた。なお、これらについて公開利用の準備を進め、また国内外の諸データベースとのデータの交換、次年度以降に実施する総合的な解析についても準備を進めている。
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