研究概要 |
平成16年度は、本研究の実施期間の最終年度にあたる。データベースの地理情報システム上での利用を進め、歴史時代の気候が今日まで伝承されるさまざまな民間行事の中に,どのように痕跡をとどめているのか、多面的に分析を行った。また平成14年度、15年度に行ったデータベースの整備と予察的な分析の成果にもとづいて、観測記録等のない歴史時代における気候変動について、気候災害や民間行事からの復元方法について検討を進めた。 とくに従来の成果にも基づいて、鎮風祈願の祭祀祭礼等の民間行事などから、気候変動とその影響とのかかわりなどを明らかにした。風鎮行事は中心の一つであるが、風災を受けた地域では、それがどのように後世に伝えられるのか調査した。また関連した行事として各地につたわる虫送りや熱送りのような民間行事の中にも、防災祈願が含まれていること、また地域集団の中で霊場を巡拝する風習の中にも防災の祈願がこめられていることを明らかにした。ただし災害とそうした民間行事とのかかわり方にはさまざまな場合があり、地域によりそうした行事に差異が生ずるが、それには社寺にかかわる文化的複合がかかわることを明らかにした。 また強風災害とその影響について対比するために、ハリケーンの常襲地域においても調査を行った。とくに平成16年9月のハリケーン・アイバンにより多大な被害を受けたケイマン諸島およびドミニカ共和国において現地調査を行った。 これらの研究成果は、期間中に富山大学教育学部紀要および研究論集に逐次報告してきたが、最終年度においてはこれらをまとめて報告書にする一方、日本地理学会等の学術大会でも報告した。
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