研究概要 |
1)ヒマラヤ東部地域のかなり広い範囲の解析作業をおこなった.ブータン中央部とその北側のチベット部分でも解析をおこない,氷河の縮小と,氷河湖の拡大を明らかにした.これらは,ブータンのリンシー地区とルナナ地域,東ネパールのクンブ地域の氷河変動の傾向とよく一致していた.ここでも,多くの氷河湖は1980年代に大きく拡大した事がわかった.そして,2-3の特に危険な氷河湖を特定することができた.とくに,チベット側には最近決壊した湖や危険な湖が存在し,下流に大きな災害をもたらす可能性がある.この結果は氷河湖研究会の報告書にまとめた(小森・岩田,2004). 2)昨年度,集中的に作業した中央ブータン,チャムカール川流域源頭のチャブダ氷河湖についても,あらたに,報告書と論文に発表した(IWATA et al., 2003;小森ほか.2003;KOMORI et al., 2003). 3)ブータンの永久凍土の分布について岩石氷河を指標にして調査し,その下限を明らかにした.これは,モレーンダムの強度の評価に必須の情報である(IWATA et al., 2003). 4)氷河湖の決壊洪水の危険度評価の評価手法の指針を検討し報告した(岩田,2003). 5)東ヒマラヤとの比較の意味で,高緯度地方にあり,インド・モンスーンの影響が少ない天山山脈東部において,その氷河縮小と,なぜそこでは氷河湖が形成されないかについて調査した.この結果は氷河湖研究会で報告書した.
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