地域で安心して安定した生活を送るためには、地域に根ざした相互の助け合いによる自立支援が重要となる。本研究においては生活自立の支援について福島県の過疎地域在往者の社会的ネットワークから検討することを目的とし、平成14年度には、主として生活自立支援をする側となる30代から50代の住民に対し、健康づくりや今後の生き方に関するアンケート調査を実施した。その結果、(1)健康づくりのために定期的な健診受診、十分な睡眠休養、気分転換の心がけについては実行率が高いものの、定期的な運動は低かった。(2)健康づくりの施策として、運動環境の整備や精神保健事業の充実が高く望まれていた。(3)自分の老後について考えている者が過半数であり、好きなことを優先する、のんびり気ままに過ごす、近所づきあいを大切にする生き方が高く望まれていた。(4)ボランティア活動に6割以上が参加の意思をもっていた。興味のある活動内容は、地域活動、環境活動やスポーツレクリエーション活動であり、国際交流活動や児童や障害者を対象とする活動は低調であった。(5)世代間交流を重要だと捉えており、交流を進めるにあたっては餅つきや祭りなどの伝統行事、共同農作業、伝統芸能やむかし遊びなどの企画に高い関心がみられた。 近所づきあいを大切にする生き方、地域内でのボランティア活動への高い参加意欲、世代間交流の重視などは、社会的ネットワークに深く関わっている。これらの視点から高齢化率の高い過疎地域に住む高齢者を支える世代の社会的ネットワークの特徴を追求し地域における新たな社会的ネットワーク構築に資する知見を得たい。
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