研究課題/領域番号 |
14580111
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
徳井 淑子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (80172146)
|
研究分担者 |
伊藤 亜紀 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (70323863)
小山 直子 お茶の水女子大学, ジェンダー研究センター, 研究員
|
キーワード | 流行情報 / 服飾文化 / 感性 / 近代性 / ロマン主義 / 文様 / 色彩論 / 図像学 |
研究概要 |
本研究は、服飾の流行現象における情報伝達のメカニズムを解明することによって、東西の服飾文化の特徴を比較検討することを目的としている。本年度は、昨年度に続き代表者・分担者のそれぞれが日本・西洋の歴史において、ただし時代を中世・近世から近代まで広げ、服飾デザインの具体的事例に基づき、情報の伝達と相互媒介を分析した。 代表者・徳井は、中世の文様の流行に関わる事例のほか、特に19世紀フランスの近代社会における流行の伝達システムをロマン主義時代の若者の風俗に関して考察した。そして、彼らの懐古趣味・中世趣味の服装が、仮装服や舞台衣裳と相互に影響しあい、それらのデザインが絵画作品に取材されたことを示した上で、芝居の隆盛、美術館の開放、コピー画の市場形成が情報伝達に貢献したことを明らかにした。 分担者・小山は、日本近代の同氏同家形成期において、公権威的なイベントに追随した流行情報が「近代的身体」とその感性を生成し、生活様式に組み込まれていったことを、天皇および軍関連イベントにおける記録、雑誌記事等から服装描写を中心に検討した。また、本研究の最終的情報公開の前準備として研究文献データベースの構築を試行した。 分担者・伊藤は、前年度に引き続き、チェーザレ・リーパの図像学事典『イコノロジーア』(1593年初版)の寓意的人物があらわす観念と、その人物の服装の色との関わりを調査し、この事典には16世紀イタリアの色彩諭のみならず、15世紀フランスの色彩論のイタリア語訳からの引用が多くみられることを指摘した。すなわち、イタリアの色彩シンボリズム形成には、フランス文化の流入が大きく関わっていることを明らかにした。
|