研究課題
基盤研究(C)
水晶振動子法を利用して幾何学的に単純で汚れの付着重量を直接検出できるモデル洗浄系を作成し、洗浄性の評価を行ってその妥当性を検証した。水晶振動子上に各種高分子膜(ポリエチレン、ナイロン6およびセルロースアセテート)を作製してモデル基質とした。モデル油汚れとして高級脂肪酸をLB法により付着させ、水溶液中で高級脂肪酸の超音波洗浄を行って水晶振動子の周波数変化から脱離率を算出した。アセテートからの脱離率が最も高く、次いでナイロン6、金、ポリエチレンの順となった。どの基質でもエタノールまたは界面活性剤の添加が脱離率を増大させる傾向が認められ、アルカリの存在下でさらに脱離が促進された。この結果は接触角や表面自由エネルギーから算出した汚れ-基質間への洗浄液の浸透に伴う自由エネルギー変化の大きさで基本的に説明できた。固体粒子汚れの洗浄に関しては、球形ポリマー粒子を用いて、水溶液中での基質への再付着現象を調べた。基質間でかなりの差異が認められたが、ナイロン粒子に較べてポリエチレン粒子の方が多く付着した。また、エタノールを添加すると付着数が激減する傾向が認められた。この結果は、拡張DLVO理論に基づき算出した粒子-基質間の全相互作用ポテンシャルエネルギー曲線により説明できた。基質表面の改質による洗浄性能の向上を目的として、各種高分子フィルムに172nmのエキシマ紫外光を照射して表面の親水化を試みた。照射後、疎水性回復が観察されたが、回復後も照射前よりはぬれ性は大きかった。紫外光照射前後の高分子フィルムに対する球形ポリマー粒子の再付着現象を種々の液体中で調べたところ、粒子や基質の種類により差異はあるが、いずれの組み合わせでも紫外光照射により付着数が激減することがわかった。さらに、この結果は表面自由エネルギーから算出した付着に伴う自由エネルギー変化で基本的に説明できた。
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すべて 雑誌論文 (8件)
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