研究概要 |
子どもの出産や成長の段階で入手される子供専用の生活財や子供室は、子ども独立後には主たる目的を失う。家族縮小期の生活財の管理や住空間のあり方に影響の大である子供専用生活財や子供室は、子ども独立後にはどのように考えていったらよいのかについて、1.戸建て住宅居住者を対象としたアンケート調査、2.戸建て住宅居住者を対象とした聞き取り調査、3.住宅情報誌編集者、及び木材の製材及び加工業者等による聞き取り調査を実施した。 1.アンケート調査について 岡山,広島の開発後20年前後経過した団地の居住者を対象に、増改築の有無、保有子供用生活財の種類や子ども独立後の管理の方法、子ども独立後の子供室の状態、生活財についての意識等について郵送による調査を実施した。その結果、(1)今までに住宅の増改築・改修は、約半数が行っている。その場所は、子供室、台所、便所、浴室であり、理由は、子どもの成長に合わせて必要になった、もっと便利に住みたい、古くなったであり、子どもの成長や機器設備の取替えに伴うものである.このように子どもの成長までは、対応しているが,子ども独立後までは、想定されることが少ない。(2)子ども独立後の子供用生活財は、現住宅内では、収納空間内に収納している、子供室にそのまま置いてある、他の家族が使用する方法がとられ、住宅外へは、廃棄するか、他の人に譲る方法がとられている。床面占有が大である家具類は、そのままの状態か廃棄されて、使用され続けることは少ない。住宅規模や室数に余裕があるためか、子ども独立後の子供室は用途を変更して使われることがほとんどない。集合住宅に比べ、改造・改修の経験が少なく、子供用品や子供室もそのままの状態が多い。戸建て住宅の場合は、個室は2階につくられることが多いことが、子ども独立後の使用状況に影響を与えていると思われる。 2.戸建て住宅対象の聞き取り調査について 東京近郊で実施した聞き取り調査からは、子供室は2階にあり、子ども独立後にもそのままの状態であるか物置化している、また夫の専用室になっているであり、子供用生活財も一部室内に置かれたままである。しかし、妻の専用室に転用するには課題があることが明らかになった。 3.企業への聞き取り調査について (1)住宅情報誌編集者から、住み方からみた家族縮小期は、一律に保護を必要する老夫婦としてばかり捉えられないことが明らかになった。子ども独立後には、同一住宅に住み続けることばかりが想定されておらず、近郊住宅地から都心中央部のマンション居住へ、また、逆にマンションから自然の豊かな地方へと住み替えを希望するケースがあり、夫婦のライフスタイルを色濃くだした住まいが模索されている。(2)木材の製材及び加工業者からは、木廃材をパーティクルボードにし、これからユニットボックスやサイズオーダーデスクに製品化し、使用後は製造会社に返却でき、それを更に新たなパーティクルボードに蘇させるリサイクル保証付きの家具が試みられている。家具そのもとしての使用できない場合にも再生の方法があることが明らかになった。
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