研究概要 |
今年度は、夏期に(1)色彩の温熱的影響を検証する実験、(2)植物・色彩・温熱環境の複合・影響に関する実験、(3)窓・カーテンの開閉状況・騒音・温熱環境の複合影響に関する実験,(4)住宅温熱環境の実測調査を行った。 実験(1)は、昨年度の冬期実験と同様の内容で、夏期に応じた5段階の温熱環境条件を設定し、暖色・寒色の2種類の色彩呈示条件下での各種の心理的な評価を測定した。実験(2)は,視覚刺激として、植物条件3種類、暖色・無彩色・寒色の3種類の壁面色、室温4段階の3要因の複合環境評価実験であり,各種の心理的な評価を測定した。実験(3)は,カーテン・窓の開閉状況,騒音の有無,室温4段階の3要因の複合環境評価実験であり,各種の心理的な評価を測定した。 実験(1)からは,冬期実験と同様に,hue-heat仮説を支持する結果が得られ,色彩め有効な利用による省エネルギー効果が示唆された。実験(2)からは,色彩の効果は非特異的尺度だけでなく特異的尺度においても有意であり,また植物に関しては,夏に好まれるマッサンギアナは,環境評価を向上させる上で有効であるが,冬に好まれるポトスは,夏の実験では有効ではないことが示された。実験(3)からは,音条件の効果やカーテンや窓の開閉状況の視覚的な効果が,確認され,2要因の交互作用も,いくつかの尺度で確認された。 また,住宅温熱環境の実測調査では戸建て住宅・集合住宅約60戸を対象として住宅の夏期温度測定を行い,体感温度によって冷房を使用開始する上限温度を明らかにした。
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