研究概要 |
高齢化社会において急増する寝たきり老人の衛生衣料など,生活環境の"衛生"は身近な問題であると同時に解決が急がれる問題である。現在,有機系・無機系の多くの抗菌剤が開発,使用されてきている。しかし,一般に有機系抗菌剤は溶出型であるため、繊維(特に衣類)へ応用した時,皮膚との直接的な接触があるため安全性が問題になる。本研究では,新規フルオロアルキル基含有オリゴマーを種々デザインし、繊維表面にフルオロアルキル基を固着して耐久性のある防汚性を付与すると同時に,さらに、オリゴマー中に抗菌性能を有するセグメントを導入して、非溶出型の有機系抗菌剤の開発を検討し,防汚・抗菌加工という新規なシステムの開発について研究した。平成15年度の研究成果として、主として以下に挙げる成果が得られた。 1 抗菌性に優れたホスホニウム型に注目し、平成14年度に開発したトリメトキシビニルシランとの共重合によるホスホニウムセグメントを有するコオリゴマー類に関し,これをさらに進展させ,繊維の表面官能基と共有結合を形成できるブロックイソシアネート型のフルオロアルキル基含有オリゴマー類を新規に開発した。 2 これで処理したガラスやセルロースは表面自由エネルギー変化から、優れた撥水・撥油性が得られ、非常に優れた防汚性を示すとともに、改質処理セルロース試料の大腸菌ならびに黄色ブドウ状球菌に対する抗菌性について調べた結果、特に、黄色ブドウ状球菌に優れた抗菌性を示した。さらに、防カビ性にも優れていた。 今後、得られた成果を基にさらに応用性の高いフルオロアルキル基含有オリゴマー類の開発を目指す予定である。
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