研究課題/領域番号 |
14580131
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研究機関 | 聖徳栄養短期大学 |
研究代表者 |
牛腸 ヒロミ 聖徳栄養短期大学, 食物栄養学科, 教授 (80114916)
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研究分担者 |
小見山 二郎 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (60016574)
山本 直子 聖徳栄養短期大学, 食物栄養学科, 助手
丸井 正樹 聖徳栄養短期大学, 食物栄養学科, 助教授 (50181821)
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キーワード | ナイロン-6極細繊維 / 表面積 / インバースガスクロマトグラフ法 / 吸湿量 / 表面層 / バルク層 / BET理論 / 単分子吸着量 |
研究概要 |
溶融紡糸法、海島紡糸法で作られた直径20〜2μmの極細、超極細ナイロン-6繊維の吸湿量をインバースガスクロマトグラフ法で精確に測定した。これらのナイロン-6繊維の化学構造は同じであるにも関わらず、繊維の直径が小さくなるほど吸湿量は大きくなった。即ち、測定温度範囲内で繊維の直径が1/10程度になると吸湿量は2倍程度大きくなり、吸湿量は繊維直径に依存することが分かった。これらの結果にBET理論を適用し、形式的に得られるパラメータを評価した。相対蒸気圧0.05〜0.40の領域でBETプロットは直線となり、その傾きとy切片とからパラメータN_m(単分子層吸湿量、吸湿座席数)を算出し、極細繊維試料の単位質量あたりの表面積に対してプロットすると、これらの繊維試料のN_mは、繊維が細くなり、表面積が増加するに従って、直線的に増加している。繊維表面層は深さが10nm以下と考えられるので、繊維直径が30μm以上の通常の太さであると、その表面層の体積は内部層のそれに対して無視できる量であるが、繊維が極細、超極細になるに従って、無視できない大きさになり、表面層の影響が顕著になる。高分子の表面層は高分子の内部より密度が小さく、T_gも低く、分子末端も多く存在するから、ナイロンの場合、運動性を保っている末端アミノ基、末端カルボキシル基に加え、水素結合していないアミド結合が多くなるため、繊維表面層の吸湿量は内部層より大きくなると考えられる。直径10μm以下のナイロン-6超極細繊維の表面層のN_mを見積もり、表面層の深さを7nmとすると、表面層の吸湿座席はバルク層のそれの30〜60倍となった。これは、アミド基1個あたり2〜5個の水分子が吸着していることに対応する。
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