本年度6月から、二重国籍に関する質的調査としてインタビュー調査を計画し、8月から、オランダ、イスラエル在住のダブルス(国際結婚から生まれた子ども達)とその母から聞き取り調査を開始した。海外に住んでいても1年から2年に1回は帰国して親戚と交流する機会があること、インターネットを利用して日本文化や日本語習得をしていることなど、二つの文化を維持して成長しているので、両国の国籍を維持することは彼らにとっては自然であるとの結果を得た。また国内に住むダブルス達のインタビュー調査も同時並行して行った。その結果、家庭では外国語と日本語の両方が使用され在日外国人との交流も頻繁であること、海外の親戚との交流も留学や短期訪問など親の出身国の文化の継承が行われていることなどが明らかになった。しかし国内に住むダブルスは、その容貌ゆえに特別視される経験を持ち、しばしばその経験が彼らの社会化過程に大きな影響を与えていることがわかった。そこで11月から12月にかけて、22歳時の国籍選択に対する意見を親と子どもに聞くアンケート調査を実施し国内在住のダブルス達の生活実態と意見を親と子どもの立場から明らかにする質問を設定した。調査は1月に実施され、2月に回収、分析を行った。親141票、子75票、親子ペアー票70票を回収した。ただ今分析中であるが、来年度は海外に住むダブルス対象とした英語による質問紙調査も、さらに国内に住むダブルス対象のインタビュー調査を並行して行う予定である。
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