小学校家庭科の食物領域で、国際的立場から物事を捉える目を育てるための授業私案を作成し、その学習の有効性について検討した。また食物学の専門家のインドネシア人を招聘し、インドネシアの子どもの食生活・食べ物について小学校生に話をして、子どもの興味・関心を調査した。 各教科の教科書とも東南アジアに関し、世界地図・写真・グラフ・挿絵や文章中での記述があり、その国の様子を分かりやすく伝えようとしていた。記載頻度は社会科での記載が最も多かった。インドネシア、タイ、マレーシアの順に多く記載されていて、食料の輸出入、森林破壊等の環境問題、紛争や土地開発により苦しむ子どもたちへの援助が主であった。エビや熱帯雨林との関わりで取り上げられていた。しかし、内容の記載数や記述量が多い割には、子どもたちは自分たちの問題と密接につながっているという意識はないようであった。家庭科の教科書では、家庭の仕事を比較したグラフに韓国を記載しているのみで、東南アジアに関するもの、東南アジアの食べ物に関するものはなかった。 家庭科の学習指導要領では世界の国々を意識した内容は取り扱うようになっていないが、家庭科学習において東南アジアの食べ物を取り上げた学習指導の私案を作成し、実践を試みた。実践例1の授業では、表示の在り方から、私たちが食べているものの中には東南アジアから輸入されているものも多く、食生活が他の国々によって支えられていることに気付かせていった。実践例2の授業では、米を中心に我が国の食糧事情を学ばせ、それぞれ違う食文化のあることや自分たちの食生活の現状が我が国の食糧事情に関連していること、我が国の食料は世界の国々と関係のあることなどを児童に気付かせた。インドネシアの子どもの食生活と食べ物の話は小学校生の強い興味・関心を惹起した。
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