(1)約400人の1日の食事を陰膳方式にて集め、脂質を抽出し、レシチンとコレスロール含量を測定した。その結果、1日摂取量、および摂取量を1000gに調整した後でもコレスロール摂取量とレシチン摂取量は著しく高い相関性を示した。前者ではr=864、後者の場合はr=0.881であった(P<0.001)。(2)食事中のレシチンを簡便に測定できる方法を開発した。粗脂質にPLaseDを反応させ、コリンリン脂質よりコリンを遊離させ、そのコリンをtriiodidと反応させることにより、コリンとヨウ素の複合体を分光学的に測定することにより、簡便に多量のサンプルを処理できる。(3)この方法を用いて、治療食すなわち糖尿病食、高コレステロール血症食、心・高血圧症食、膵・胆症食、そして高脂血症食を合計105日食集め、コレステロールおよびコリンリン脂質含量を測定した。コレステロール含量は平均210mg/day以下であり、レシチン由来のコリン含量は平均210day以下で、治療食によっては100mg/dayのものもあった。従って、治療食ではコレステロール量が抑えられているために、レシチン由来のコリン含量もかなり低かった。このことは、今後、病院における栄養管理で考え無ければならない。(4)2つの保育園より、アレルギ食品除去の献立を21食と27食提供してもらい、調理をして、その食事中のコレステロールおよびコリンリン脂質含量を測定し、相関性を調べて。2つの保育所間で相関性に差がみられたが、これはコレスチロールあるコリンリン脂質の供給源となる食品の除去の程度によると考えられた。A保育園とB保育園のアレルギー食で異なる点は、除去食品の種類の多少である。A保育園では大豆、卵、牛乳のみの除去であるのに対し、B保育園では8食品群、11食品を除去している。特に、肉類、魚介類の除去が多い。いずれにしても昼だけの食事であるが、30から40mg/食でU.S.AのFNBが推奨している所要量100mgからはかなりかけ離れていた。
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