研究概要 |
東南アジアにおける発酵米麺について、ラオス・ミャンマー・タイの調査を行った。タイには、カノンチーンという発酵麺が存在しており製造方法は、米を浸漬して磨砕しその後布袋で水切りを行っていた。そのしとぎ塊をゆでた後混捏し、ろ過した後に押し出し機で沸騰湯よく中に押し出し、次いで水の中で冷却し、ざるにあげて麺(カノンチーン)としていた。またこの製造工程中の生菌数には、浸漬で好気性菌、大腸菌が多く存在していたが、水きり後の"しとぎ塊"では、乳酸菌が多く存在していた。また、風味成分は、製造工程中の粗蛋白や脂質の減少が認められた。"しとぎ塊"では、有機酸中の乳酸の増加が著しく、他の発酵米麺と同様の傾向を示した。 ミャンマーのモヒンガーの製造工程中には、Bacillus属、Lactobacillus属、Streptococcus属,yeast, moldが普遍的に存在していた。発酵米麺の一般成分は原料米と比較して、水分、タンパク質、脂肪、灰分、すべてにおいて低い値であった。また有機酸は、原料米でみられたクエン酸、フマル酸が減少し、新たに乳酸が生成された。また、発酵米麺からタンパクを抽出し、電気泳動でタンパク質泳動パターンを観察したところ、原料米のときに見られた20KD以上のタンパク質が消失していた、さらに14.3kD付近のバンドが薄くなり、6.5KD以下の低分子のバンドが増加していた。このことから発酵による米蛋白質の低分子化が明らかとなった。浸漬米から分離した微生物はBacillus subtilisであった。また、この微生物の至適pHは5.75で至適温度は40℃であった。タイプカルチャーBacillus subtilis JCM1465に比較すると至適pH、至適温度、熱耐性ともに高い傾向にあった。
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