アレルギー・自己免療と栄養について本年度は以下の実験で検討をおこなった。 A.食餌性肥満モデルを用いたアレルギーの解祈 肥満者におけるアレルギーの増加が報告されている。そこでC57BL/6Jマウスに高脂肪食を与えて肥満を誘導した。胞満群およびコントロール食群に卵白アルブミン(OVA)によるアレルギー性喘息を誘導し、血清中抗体価、サイトカイン産生能などのリンパ球機能、肺・気管支の病理組織学的検討をおこなった。その結果、OVA抗原特異的なT細胞の反応性が肥満群で亢進し、インターフェロンγ産生の増強を認めた。すなわち肥満ではIgEの関与するI型アレルギー反応よりむしろ抗原特異的なT細胞機能の変化が喘息の病態に影響を与えることを明らかにした。 B.関節炎モデルを用いた母子間免疫の解析 関節リウマチの予防・治療法として母子間免疫応用の可能性を検討した。妊娠前の母マウスに対して経口免疫寛容を誘導し、出生した仔マウスの関節炎発症・免疫機能に与える影響についてII型コラーゲン誘導性関節炎マウスを用いて検討した。その結果、仔マウスおよび母マウスともにに経口免疫寛容を誘導することが仔マウスの関節炎抑制に有効であり、そのメカニズムとして腸管免疫系の機能変化が関わることを明らかにした。今後、自己免疫病・アレルギーの新しい治療法として母子間の経口免疫寛容誘導など、腸管免疫系の機能調節を介した免疫栄養療法を検討する価値がある。 C.アレルギーにおけるストレスの影響 アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて、拘束ストレスによるストレス付加が免疫機能に与える影響を検討した。その結果、短期のストレス付加では抗原特異的抗体価(IgE)やIL-4はストレス群でむしろ低下傾向を示した。その病態と栄養による制御について現在解析中である。
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