研究課題/領域番号 |
14580151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
食生活
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
大杉 匡弘 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70085231)
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研究分担者 |
岡村 徳光 武庫川女子大学, 短期大学部・食生活学科, 助教授 (20211807)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | アルコール飲料 / 担子菌 / 抗トロンビン活性 / 線溶活性 / 抗菌活性 / ビオチン活性物質 / マスタケ / 抗腫瘍性 |
研究概要 |
生活習慣病予防の解決の一つとして予防医学の観点から、機能性食品の開発を目的として担子菌に新しくアルコール生成能を見出したので、製造されたアルコール飲料中の抗がん、抗血栓などの生理機能を示す特性を明らかにすることを目的とした。 平成14年度においては、紫いもを原料として、エノキタケやマスタケを用いてのアルコール飲料の製造を試みた。マスタケで製造した場合、その菌糸体の振とう培養下でのアルコール生成が良好(2.9%)で、紫いもがもつアントシアニン系色素がそのまま発酵液に抽出され、抗酸化作用が認められた。またその発酵液にはマクロファージによるTNF-αの生産とNOの生成、β-グルカン様多糖の生成蓄積による抗腫瘍活性が確認された。また発酵液は特有の香りがあり、同定の結果、白桃のアロマであるγ-decalactoneを主成分とすることが分かった。一方、アルコール生成機構について、酵素学的見地から検討した結果、酵母によるアルコール発酵のEmbden Meyearhof pathwayおよびZ菌(細菌)によるアルコール発酵のEntner Doudoroff pathwayの両経路を合わせもっていることを明らかにした。 平成15年においては、紫いもに限らずに各種食品素材として各種穀類、豆類、いも類、乳類、果汁類その他29種について、マスタケやエノキタケなど46種の担子菌の菌糸体培養を行い、アルコール生成能とともに抗トロンビン活性、線溶活性やビオチンの産生について検討した。アルコール生成はエノキタケやマスタケ以外にアワビタケ、マンネンタケ、ヤマブシタケ、スエヒロタケに見られた。これら担子菌は抗トロンビンや線溶活性を示し、特にビール酵母、大豆やオートミールでの発酵液中に高い活性を示した。特にマンネンタケやヤマブシタケは著量のビオチン活性物資(ビオチン、デスチオビオチン、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸)を生成蓄積(10mg/liter)することが分かり、食品素材としては豆類、麦類、豆乳が良好であった。 平成16年度においては、その他の健康・機能性活性試験を行った。マンネンタケ、マスタケ、エノキタケにはα-アミラーゼ阻害活性、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性、チロシナーゼ阻害活性が見られた。大豆、おから、果汁やビール酵母の食品素材が良好であった。アルコール生成能は少ないが、ヤナギマツタケは、グラム陽性・陰性細菌のみならずカビおよび酵母にも抗菌を示した。
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